AI技術に関心のある皆さん、お待たせしました!今回は、注目の「Veo3」をいち早く体験し、そのリアルな性能と使いやすさを徹底的に評価します。様々なシーンで試した結果、一体何が進化したのか?
この記事では、Veo 3の使いやすさ・映像品質・他AIとの違いをレビューし、どんな人におすすめか、どう活用すべきかを本音でお伝えします。
目次
まず結論|Veo3を使ってみた総合評価

満足度(★★★★☆ 4)その理由
総合評価は★4。 理由は、何より映像の品質が圧倒的だった点。
プロンプトに対する理解力も高く、カメラワークや被写界深度の演出、ジャンル表現(アニメ風・映画風など)も驚くほど自然でした。一方、人物の細部(特に手や目)や動物の表現ではまだ違和感がある場面もあり、★1をマイナス。とはいえ、現在入手可能な生成AI映像ツールの中では間違いなくトップクラスの完成度だと感じました。
おすすめできるユーザー層とシーン
- Veo 3は以下のような人におすすめです:
- ✅YouTubeやTikTokに使う短尺映像を手早く作りたい人
- ✅広告動画やプロモーションビデオをコストを抑えて作りたい企業担当者
- ✅映像制作のインスピレーションが欲しいクリエイターや脚本家
特に、ストーリー性のある映像を想定した映画風ショートや予告風ティーザーとの相性は抜群です。
他AIと比べて特に優れていたポイント
Veo 3を使っていて最も驚かされたのは、映像に音楽が自動で付与されるという点です。
これはSoraやRunwayなど他の動画生成AIではまだ一般的でない機能であり、映像の雰囲気やトーンに合わせて適切なBGMが自動的にミックスされることで、完成された一本の作品のように仕上がるのが大きな魅力でした。
加えて、カメラ演出や被写界深度の表現も自然で、プロンプトのニュアンスを読み取る力にも優れています。まさに、「ただ動く映像」ではなく「観せる作品」を短時間で生み出せるAIだと実感しました。
Veo 3とは?従来の動画生成AIとの違い

プロンプトで数秒の高品質映像が生成可能
Veo 3は、Googleが開発した最新の動画生成AIで、テキストプロンプトや画像をもとに、高品質な映像をわずか数秒で生成できます。
たとえば「東京の夜を舞台にした未来の戦士が戦うシーン」といったプロンプトに対して、映画のワンカットのようなカメラ演出や照明効果が施された映像が瞬時に返ってきます。
実写風・アニメ風・幻想的表現など幅広いスタイルに対応しており、これまで静止画が中心だったAI生成の世界に、本格的な“動画制作の民主化”をもたらしています。
カメラワーク・被写界深度など映画的表現に対応
Veo 3が特に優れているのは、シネマティックな演出を標準で取り入れている点です。
ズームやパンといった動きのあるカメラワークはもちろん、背景と被写体にフォーカス差をつける被写界深度(Depth of Field)も自然で、プロが撮影・編集したかのような仕上がりになります。
このような映画的な文法を理解してくれるAIは、現時点では極めて少なく、特にストーリー性を重視する映像制作者にとって、構図や演出をAIに任せられるという点は非常に大きなメリットです。
SoraやRunwayなどの他ツールと何が違う?
OpenAIのSoraやRunwayのGen-2といった競合ツールとの大きな違いは、Veo 3の「統合的な映像生成体験」にあります。
Soraは高い物理シミュレーション能力と滑らかな映像表現が特長ですが、音楽や編集要素までは自動で付与されません。一方RunwayはGUIが洗練されておりエディット性は高いですが、素材としての映像生成にとどまりがちです。
Veo 3は映像・構成・音楽を一括で仕上げることで、手間をかけずに“映像作品として成立する動画”を生成してくれます。
その意味で、Veo 3は編集前提ではなく「そのまま公開できる完成動画」を作るAIとして位置づけられます。
実際にVeo 3で生成した映像例を紹介
テキストプロンプトからの動画生成(例:未来のサムライなど)
まず試してみたのが、テキストのみで映像を生成する基本的な使い方です。
▼使用プロンプト
夜の渋谷スクランブル交差点。
突然、空間が歪み、赤いタイムリフトが上空に出現!
そこから現れるのは、黒いサイバー甲冑を身にまとった侍。
ネオンがバチバチと光り、周囲の人々が驚いて逃げる。
侍が地面に着地、マントが翻り、刀が光る。
スローモーション+アニメ風エフェクト(オーラ・衝撃波)バスドラムの「ドーン!」で映像が締まる。」
上記プロンプトを入力すると、夜の都市が広がり、1人のキャラクターが登場する映像が生成されました。驚くべきは、プロンプトに書いていない“演出”まで自動で付加されている点です。
カメラは中央アングルからゆっくりズームし、サムライが登場するシーンで音楽が静かに高まり、まるで短編映画の一幕を見ているような完成度でした。
イメージからの動画生成(例:実写風など)
次に試したのは、1枚の画像をベースにした映像生成。
▼使用プロンプト
春の風に舞う桜の中で彼女が笑顔を見せる
Midjourneyで作成した実写画像をVeoに読み込ませ、「春の風に舞う桜の中で彼女が笑顔を見せる」といった説明を添えたところ、背景に動く桜吹雪、髪がなびく演出、表情の変化まで反映された柔らかいトーンの動画が生成されました。
画像から読み取った構図を保ちつつ、静止画に“時間”と“空気感”を与える仕上がりで、静止画の世界に命が吹き込まれるような感覚を覚えました。
特定のスタイルやトーンでの動画生成(例:アニメ風)
Veo 3の強みの一つは、映像の“スタイル”や“感情のトーン”を細かく指示できることです。
▼使用プロンプト
好奇心旺盛な猫が、ティッシュの箱に頭を突っ込んで焦って抜けなくなる
たとえば「好奇心旺盛な猫が、ティッシュの箱に頭を突っ込んで焦って抜けなくなる」といったプロンプトを入力すると、猫がティッシュ箱に頭を入れると顔の周りに文字が出る演出が加えられた、まるでハプニング動画を思わせるような繊細な動画が生成されました。
BGMも控えめで、ピアノの旋律が淡く流れる構成になっており、言葉では説明していない“静けさ”や“切なさ”まで演出されている点に驚かされました。
さらに、「赤ちゃんパンダが小さな丘をコロコロと転がるスローモーション」と伝えると、アングルや色彩、キャラの動きまでガラリと変わり、明るくリズミカルなシーンに即座に対応。
このように、映像の“テンション”や“ジャンル”を明示するだけで、表現を的確に切り替えてくれるのがVeo 3の魅力です。
Veo 3の編集機能
現時点ではVeo 3はあくまで映像を生成することに特化しており、Runwayのような細かいカット編集やエフェクト追加はできません。
ただし、生成時にシーン構成・時間尺・雰囲気・演出の指示が可能なため、最初からある程度“完成された形”で出力されるのが特徴です。
編集機能が限られるからこそ、「ワンプロンプト=ワンシーン」と割り切って生成→組み合わせるスタイルが合っており、素材としてではなくそのままSNSや広告に流せる“即戦力映像”を作りたい人にとっては大きな強みです。
使って感じたVeo 3の「すごい」ポイント

Veo 3を実際に使ってみて、驚かされたのは単なる映像生成の枠を超えた“演出力”の高さでした。以下は特に印象的だった強みです。
動きの自然さ、構図の設計力
まず感じたのは、キャラクターや背景の“動き”が非常に自然であることです。
歩く・振り向く・風になびくといった動作に無理がなく、アニメーション独特の“カクつき”もほとんど感じられませんでした。
さらに、カメラアングルやフレーミングもプロの映像編集者が構図を練ったかのように洗練されており、「ここを見せたいんだろうな」と思わせる意図のあるカメラワークがAIによって自動設計されていたことに驚きました。
プロンプトの解釈が非常に的確(※現在は英語のみ対応)
Veo 3のもう一つの強みは、プロンプトに対する理解力の高さです。
ただし、注意点として現時点ではプロンプトは「英語」のみの対応で、日本語の指示には対応していません。それでも、作りたい動画の英語単語表現やイメージをGeminiと相談し、日本語を英語で出力してもらうのも一つの手です。
Vue3は、上記対応でもニュアンスをきちんとくみ取って映像に反映してくれます。
抽象的な雰囲気や演出スタイルも解釈可能で、「slow cinematic reveal」「playful and colorful animation」などの表現を加えることで、カメラ演出や色彩までもがプロンプトに沿って生成されるのが印象的でした。今後は日本語対応が期待されるポイントでもあります。
ジャンルの幅広さ(映画、広告、ショート、バラエティ)
Veo 3は単に“綺麗な映像”を作るだけでなく、ジャンルごとの文法や演出も再現できる点が他AIと一線を画しています。映画風のゆったりとしたカット構成から、TikTokのようなテンポの早いバズ系ショート動画、さらにはバラエティ的なオーバーアクションを活かした演出まで、驚くほど幅広いジャンルに対応。「静謐で情緒的なシーン」と「エネルギッシュでポップな場面」を同じ日中に出力しても、まるで別のクリエイターが作ったような雰囲気の違いがしっかり出るのです。
「ここは惜しい」と感じた点

一部シーンでのブレ・変形(特に動物や手の表現)
まず気になったのは、動物や人間の手など複雑な構造の表現において、多少の違和感が残ることです。
キャラクターの指が不自然に長かったり、動物の顔が一瞬歪んだりといった“微妙なズレ”が生じることがあります。
これは他の動画生成AIでも見られる課題ですが、「実写風」を狙った際に特に目立ちやすいため、リアリティを重視した映像では調整やリトライが必要になるケースもありました。
日本語未対応であることによるハードルの高さ
Veo 3を使っていて感じた最大の壁のひとつは、現時点でプロンプトが英語のみ対応であることです。
単に単語を並べるだけでなく、「dramatic」「slow cinematic tracking shot」「elegant tone」といった文脈を含んだ映像的表現を適切に英語で伝えるスキルが求められるため、思い通りの映像を出すには、ある程度の“英語での演出指示”に慣れている必要があります。将来的な日本語対応が進めば、より多くのユーザーにとって使いやすい映像AIになることは間違いないでしょう。
商用ライセンスの取得方法やコンプライアンス要件が不明確
5月26日現時点では、Veo 3は日本で「Google AI Pro」(月額2,900円)および「Google AI Ultra」(月額36,400円)プランを通じて一般提供されています。
商用利用はGoogleの標準利用規約に準拠すれば可能ですが、生成物の二次利用や著作権表示に関する詳細なガイドラインは未整備です。
特にクライアントワークでは、Vertex AI Enterpriseとの連携で電子透かし(SynthID)付与が必須となり、AI生成コンテンツであることを明示する必要があります。
Veo 3はどんな人におすすめ?

Veo 3は“誰でも簡単に映像が作れる”というよりも、目的と活用シーンが明確な人に特に効果を発揮するAIツールです。以下に、実際に使ってみて「この人にこそ使ってほしい」と感じたユーザー像を紹介します。
YouTubeやSNS用の短尺動画を素早く作りたい人
YouTube ShortsやInstagramリール、TikTokなど、短尺かつ印象的な動画が求められるプラットフォームでは、Veo 3の即戦力性が大きな武器になります。
たとえば「10秒で世界観を伝える」「ストーリー性のある導入カットを作る」など、短くてもインパクトのある映像を作りたい場面に非常に適しています。
Veo 3は環境音・効果音・キャラクター対話を含む完全な音声トラックを自動生成します。BGMだけでなく、プロンプトに応じたリップシンク付きの会話動画も作成可能です。
マーケティング施策でAI動画を活用したい広報・広告担当者
Veo 3はプロモーション用の映像・CMティーザー・ブランド演出などにも強く、広告系の表現力が求められる業種にもフィットします。
「高級感のあるブランド映像」「感情を揺さぶるドキュメンタリー風」などのトーンも再現できるため、外注せずにプロモーション映像の“試作版”を高速に制作する用途にも最適です。
まだ商用利用には確認が必要ですが、企画段階のビジュアルモックやクライアント提案などには十分に活用可能です。
創作活動にインスピレーションを得たい映像クリエイター
脚本家や映像作家、アニメーターにとっても、アイデアの“視覚化”ツールとしてVeo 3は非常に優れた存在です。テキストで思いついたシーンやキャラクターを映像化することで、演出の方向性を確認したり、新たな構図や表現方法を発見したりすることができます。
実際に、「このアングルは自分では思いつかなかった」「こういう色使いもアリだな」と感じることが多く、“もう一人のクリエイター”として活用できるAIだと感じました。
他の動画生成AI(Sora・Runway)との比較

生成AIの映像領域では、Sora・Runway・Veo 3という3大ツールが注目を集めています。それぞれの違いを明確にするため、まずは主な比較ポイントを表で整理します。
🎬 主要動画生成AIの機能比較表
項目 | Sora(OpenAI) | Runway Gen-3 | Veo 3(Google) |
---|---|---|---|
映像表現力 | 物理シミュレーション リアル再現(流体/衝突) | 抽象表現~実写調まで幅広い | 映画的構図・演出 音声付き生成 |
プロンプト対応 | 英語・日本語対応 | 英語・GUI補助あり | 英語のみ (Gemini連携で間接的日本語入力可) |
音楽の自動挿入 | なし | なし | 音声付き生成 (BGM/効果音/会話) |
商用利用の柔軟性 | 未定/限定的 | 契約により可 | 未定/限定的 |
主な強み | 滑らかで自然な動き リアル再現力 | 編集自由度 リアルタイムプレビュー | ワンプロンプトで 音声付き完成品生成 |
向いている用途 | シミュレーション リアルCG | ショート映像制作 特殊効果 | SNS・広告向けの短編映像 音声付きティーザー |
📝 解説ポイント(表の補足)
- Soraは、現実的な物理シミュレーション(流体・衝突)と滑らかな動きの再現に特化し、科学可視化やリアルCG制作に向いています。
- Runwayは、映像のスタイル変換やオブジェクト追加/削除を可能にする編集ツールを内蔵し、素材の再構築に特化しています。
- Veo 3は、映像の雰囲気に合わせた環境音・効果音・会話音声を自動統合し、音声付き完成動画を出力します。
まとめ|Veo 3はAI映像制作の“入り口”になるか?
Veo 3は、これまでの動画生成AIとは一線を画す“完成された映像作品”をプロンプトひとつで作り出すツールです。
映画的な構図、自然なカメラワーク、空気感をまとった表現、さらには自動で音楽まで付与される統合的な演出力!どれを取っても、2025年時点での映像生成AIとしてはトップクラスの実力を持っています。
🎯 活用のポイントとプロンプト例の参考
- 具体的に情景・トーン・アングルを英語で伝えることが成功の鍵
例:A cinematic close-up of a lone samurai walking through neon-lit Tokyo at dusk, with slow motion and dramatic music - ジャンル指定+感情表現を組み合わせると演出が洗練される
例:Short emotional anime intro with pastel colors and soft background piano
🚀 今後の展望と、次に試すべきAIツールへの導線
Googleは今後、Veo 3の機能強化だけでなく、Geminiとの統合やProject AstraといったマルチモーダルAIの連携も進めており、企業向けにはVertex AIでの透かし管理機能を強化予定です。ルールを守り活用する事で、映像・音声・テキスト・対話が連動する“AIメディア制作の新時代”がいよいよ現実味を帯びてきました。
また、将来的には、Sora・Veo 3・Runwayを組み合わせたワークフローが期待されます。
Veo 3は、「動画を作りたいけど撮れない・編集できない・時間がない」人にとっての最強の相棒です。
そう実感させてくれる、今一番“体験すべきAI”のひとつです。
※本記事の情報は2025年5月時点のものです。最新の機能・料金については、Anthropic公式サイトをご確認ください。